自立援助ホームとは
父母の虐待や死別など、なんらかの理由で家庭にいられなくなり、働かざるを得なくなった、原則として15歳から20歳まで(状況によって22歳まで)の子どもたちに暮らしの場を与える施設です。
生き生きと生活できる場、安心して生活できる場を提供し、大人との信頼関係を通して社会で生き抜く力を身に付け、子どもたちが経済的にも精神的にも自立できるように援助する事を目的としています。
大切にしている3つのこと
あたり前の生活
自立援助ホームは、虐待、貧困など大変厳しく過酷な養育環境をくぐり抜けて来ている青少年たちに、安心・安全な生活環境を保障します。スタッフと生活を共にしながら、「食」「住」に始まり、「ごめんね」「ありがとう」「おねがい」という、あたり前の言葉がけを大切にします。また、彼ら一人一人の話しに丁寧に耳を傾け、自分の存在が受け止められていることを実感できるように配慮し、自分を大切に思うことのきっかけを作っています。
主体性の保障
自立援助ホームに来た青少年たちは、今まで自分で選び、決めるという自立の出発点となる経験と失敗経験から学ぶという権利を保障されませんでした。入居時にまず、入居の意思を確認し、ホームと入居の契約を交わします。このことは、自分で選び、考えることの第一歩となります。
その後も失敗することもありますが、自分で考え行動し、その結果を受け入れる経験を積み重ねていきます。
退居者支援
青少年たちは、「あたり前の生活」や「主体性の保障」のある生活の中で、経験を重ねるとホームから離れて生活するという次のステップに進みます。
その際、彼らに「困った時はいつでも相談に来てよい」ということを伝えます。そのことは、彼らの「心の安全基地」となる覚悟と「適度に人に頼る」ことが社会生活には不可欠であると自立援助ホームが考えていることを意味しています。
また、転職、恋愛、結婚、子育て等のライフイベントごとの「人生の課題」に継続的にかかわることによって、「時間の経過が解決してくれること」を本人と分かち合うことができます。
3つのPOINT
わたしたちが大切にしている
基本的な関わり方
ホームに来る子どもたちの7割以上は被虐待児で、誰も信じない、頼らない、なぜ生まれてきたのかわからない、そういう思いを心の奥底に抱えている子どもたちも多くいます。この子どもたちに必要なのは指導でも、お世話でも、管理でもありません。私たちは、先ずはそのままの姿(何もやろうとしない、意欲をもてない、良いとは言えない目標しかもてないといろいろありますが)を認め、受け入れることから始まります。そして、やる気になり、意欲的になるのを、ある程度認識し、目標がもてるようになるまで待ちます。何度かは失敗するであろうことを予測しながらも、彼らが選び、決断するまで待ちます。そして、彼らが決断したことを尊重します。私たちには良くないな、上手くいかないなと解っていても彼らが決断したことを尊重します。
当然、上手くいかないことや、躓くこともあるでしょう。しかし、人は失敗したり誤った体験をしながら成長していきます。その権利は彼らにもあるのです。そのことがきちんと保障されていることが大切です。ありのままを認め、本人の主体性が生じるのを待ち、出てきた決断を尊重し、失敗することを保障する、これが自立援助ホーム特有の基本的な関わり方であり、ここからスタートします。
わたしたちは、【自立援助ホーム運営指針】にのっとり適切な運営と関わり方を目指します。
- STEP❶.入居相談
- 入居を希望する青少年(本人の同意があれば、関係者でも可能)が自立援助ホームか居住地の児童相談所に入居の相談をします。
- STEP❷.入居調整
- 児童相談所のケースワーカーが面談し、入居希望者の意思の確認を行います。その後、入居を希望するホームの見学をしたり、スタッフからホームの生活様式や決まりなどを聞いたりして、実際に入居するかをケースワーカーと相談しながら決めていきます。
※自立援助ホームに相談された場合は、自立援助ホームから所管の児童相談所に連絡し、その後、同様の手続きを取ります。
- STEP❸.入居依頼
- 児童相談所から自立援助ホームへ、入居希望者の入居の可否を確認します。
- STEP❹.入居承認
- 自立援助ホームから児童相談所へ入居の可否を連絡します。
- STEP❺.入居(委託措置)決定
- 児童相談所から入居希望者へ、入居(委託措置)の可否が連絡されます。
- STEP❻.入居(委託措置)開始
- 入居(委託措置)が決まり、自立援助ホームでの生活が始まります。